「あまりに痛いのであれば医務室へ行くことをお勧めしますが……」
「ええよ、はよ教室行コ」
痛そうに顔を歪めているくせに、強がりなのかなんなのか。わたしが掴んでいた服の裾を戻して足速に歩き始めようとした睿霸だけど。
「っ……、」
「……肩貸しますよ、」
ふらり、と踏み出した足が揺れ、それと呼応するように睿霸の体が左右に揺れた。
咄嗟に睿霸の肩を支えるように隣に立って、己の片腕を睿霸の腰に、睿霸の手を自分の肩へ誘導する。
「えるちゃんが純粋に僕を気遣ウとか、裏ありそうで怖いわあ……」
「じゃあ離れますね」
「ゴめんごめん冗談やて!!」
掴んでいた腰を離そうと一瞬力を弱めるも、がしぃっと肩にもたれている以上の力で上から掴まれてしまい、離せなくなってしまった。
「……睿霸は、態度変わりませんね」
「そーゆーえるちゃんは、随分気まズそうやなあ」
「……殺さなくちゃいけない相手は順当に殺してきましたので、途中でやめた経験なんてないんですよ」
「それだけ聞イたらただの凄腕の殺し屋やん……」
はあ、とまたもやため息をついた睿霸だけれど、息をついた理由が、その顔に浮かんでいた微笑とはどこか相容れないものを含んでいたように、感じた。



