まともに動けなくなった睿霸の首へ、今度こそ手を伸ばした。
もう阻まれることはない。
この首さえ、いつも通りして、しまえ、ば──────、
「……えーるちゃん、」
刹那、ぱしりと、手が掴まれた。
「……何か言い残したことでもあるんですか?」
「んー、そうやナくて、ちょっとだけこれの中身、改めて確認せえへんか思ってなあ」
「……なかみ、」
己の死が、己をころそうとしている人間が目の前にいるのに、へらへら笑える精神は、さすが睿霸といったところか。
そして、その笑顔と連動するように、わたしが落としたスマホをぷらぷら揺らしてわたしの手の中へと押しつける。
「せメて殺すの決めるんは、例のメッセージ見てからでもええと思うんやけど、ど?」
「…………、」
……そういえば、さっきから睿霸、何か言いかけてたっけ。
…………………、……。
睿霸から一切目を逸らすことなく、かと言ってスマホを手放すわけでもなく数秒思考した、のち。
掴まれていた腕を、思い切り引いた。
……睿霸の腕を、巻き込んで。
「ッ、へ?」
「……ふぬっ、」
瞬間、ごちん!と先程した時よりも激しい衝突音が、互いの額から弾け飛んだ。



