重たく硬い体が、派手な音を立てて近くの壁に激突した。
「っ、は、フェイク入れるとか、ほんっと、そなイな身のこなしでなんで殺し屋やないん……ッ?」
「前も言ったじゃないですか。殺し屋として活動したことがないと」
綺麗に内臓、それも腎臓の位置に入ったからか、睿霸は壁を背もたれにしてずるずると座り込んだ。
かなり強い力で入れたから、立てないのも仕方ない。
「あー、まじくっソ痛いわあ……、久々にこんなクリティカルくらってもうた。それも異性からとか初なんヤけど」
「じゃあ、これが睿霸の最初で最後になりますね」
床に座り込んでいる睿霸の視線に合わせてわたしも屈み、喉仏がはっきりと浮かび上がった首へ手を伸ばす。
……けれど。
「ええノ?さっき言うた通リ、ここで〝殺し〟は御法度やで。今度はえるちゃんが狙ワれてまうけど」
「大丈夫です、どうにかしますので。……いえ、させますから」
……それに、3人は気づいていないだろうけど、物事はおおかたわたしにとって都合のいいように進む。これはある意味シナリオというものをわたしがなぞっているからなのだけど。
否、シナリオという言い方は若干正しくないかもしれない。
……どちらかというと、攻略本、という言い方のほうが近いかも。



