うそつきな唇に、キス





口角をつりあげて、すこし弾んだ声を散らした睿霸の言葉に、記憶を掘り返して気づいた。


確か、あの日、七席の説明をしてくれた時、睿霸は─────、




「……若サマは、確か〝代理〟でしたね」

「そ、覚えてくれとっテよかったわ。……若くんはまダ正式な七席のひとりやないからな、そういう権限はぜーんぶ、東歌組現当主である若くんの父親が持っとるはずやで。まあ伏せっとるっちゅー話やけ、いツ若くんに全権限を委譲してもおかしないけど」




そんな睿霸の言葉に、思わずふっと吹き出してしまいそうになった。


……委譲、かあ。

譲るつもり、全然ないと思うんだけど、な。




「……あれ。でも、睿霸は別に代理とかじゃないですよね」

「ふっふ〜ン。そうやデ、僕は正真正銘七席の全権限を持っとる男や!……ド?えるちゃんモ多少は気になるんやない?」

「正直七席云々に関してはまだわたしも知らないところが多いのでそんなに興味はないんですが、」

「イやないんかい!」

「ですが、」




どこか拗ねたように肩を落として猫背になっている睿霸の顔を覗き込んで、言った。




「睿霸ならこの個人情報、消してしまえるんじゃないですか?」