「……あ、もしかして、だから若サマのこと、睿霸は〝若くん〟って呼んでるんですか?」
「ソー。若くん気づいたら名前ちょくちょく変更しとるけ、もう若くんで定着させようとしつこく呼んどったら、最初鬱陶しそうに指摘してきとったんやけど、しばらくしたらパタリとやんでなあ」
その時のことを思い出しているのか、睿霸はひどく愉快げに肩を揺らした。
……若サマ、きっとすごーく疲れた顔してたんだろうなあ。
「じゃあ、こっち側の人ってそこそこの頻度で名前とか変えてるんですか?」
「いんや、僕は一回変えたぐらいでその後は変更しとらんヨ。側近くんは確か変えたことアらへんし。若くんガちょい特殊なだけやと思うで。たぶン変えとる理由は、若くんが度々個人情報晒されとるからやし」
「……へっ?」
ぽんっ、と。
前触れもなく投下された言葉に、聞き間違いかとらしくもなく耳を疑った。
「……若サマの個人情報って、そんなに緩い感じで管理されてるん、ですか?」
「んー、まあ本人が管理しとるけ別に緩いワけやないやろうけど、抜き取る奴がアレやからなあ……」
そう言って、おもむろに懐からスマホを取り出した睿霸は、すいすいと画面を何度かスライドさせたのち、その画面をわたしへ向けた。



