うそつきな唇に、キス





衝動でなど生きていないはずだった。

常に効率よく、最善を選んで。波風など要所にしか立てないように。


それが、最も良い選択、だと。

そう思っている、はず、なのに。




「今はわたしからコレへ質問をしている最中です。他はもちろん黙っていていただきたいですが、わざわざ強制させなければならないほどソレらも理解力が低いわけではないでしょう。それに見てください。睿霸が黙れと言っただけで呼吸まで止まっちゃってます」




するりと女の子と男の子たちの方へ視線を投げたら、全員が全員、顔を真っ白にさせて喉元を抑えていたり、必死に口をぱくぱく開閉させたりしていた。

睿霸の黙れ、という三文字の言葉が、呼吸音さえ許さない命令として作用しているのだ。



「これくらいは自分でなんとかしますから。……それに、睿霸のお手を煩わせるほどの事案でもないですし」



そう笑顔で言ったら、なぜか一瞬、睿霸の顔が不満げに歪んだ気がした。



「………………ハア、ま、えるチャンがそう言うんならええわ。お前ら全員、だまらんでええよ(・・・・・・・・)




睿霸がそう気怠げに言葉を放り投げた瞬間、女の子と男の子たちが、一斉に咳き込み始めた。

酸素を一気に取り込んだせいか、息切れと軽い呼吸困難も併発しているみたいで、しばらく声を発することさえ難しいだろう。



「……じゃ、僕は向こうのほうで待っとルけ、予鈴鳴る前には終わらせり」

「はい。ありがとうございました」