うそつきな唇に、キス





「サクラバくんっ?!」

「っ、ぅ、」




それは、瞬きをするほどの、刹那の出来事。

だからだろうか。


足が的確にソレの首元をとらえ、後ろへ薙ぎ倒したとほぼ同時に、首が完全に締まらない程度に踏みつけるまで、誰も反応ができないでいたのは。




「さくちゃっ、」

「サクラバ!」



ふと、我に返った3人の男の子がこちらへ駆けて来ようとしていたみたい、なのだけど。


皆一様に、わたしの顔を見て、ぴたりと足を止めた。

女の子に至っては、ひっと悲鳴を上げていた気がする。


……そんなにおかしいところ、あったかな?

そう思って、ぺたぺた自分の顔を触って見て、初めて気づいた。



常に、己は無害だと知らしめるために上げていた口角が、どこかに置き忘れでもしたのか、平坦になっていたのだ。

……まあ、でも、今はいいかな。


もうそんなこと気にする必要も、価値も、この人間たちにはないのだから。




「……はやく答えろ。でなければ、必要のない喉は潰すが」




いま、自分が何を喋っているのか、ただしく理解はできていなかった。

口調や態度、そんなことより、もっとずっと気にするべきことがあったから。