刹那、男の子たちの瞳が、苦虫を噛み潰したように刺々しい色を放ちながら眇められる。
「……なぜ、助けなかった。お前には、あの時のようにえみりを助ける力があったはずだ」
「そうですね。けれど、その時わたしには第一に優先しなければならないことがあったので。もしその用事が終わった後まで続いているようであれば介入する予定ではありましたよ。あなたに何か言われずとも」
黒棟から白棟へ抜ける時、姿は残念ながら見かけなかったけれど、言い争う声は聞こえたのだ。
ひどく聞いたことのある、意志の強そうな、けれど意思の強さではどうにもならない状況下では無価値となる、澄んだ声が。
「……さて。これにてわたしがその子を虐めていたことへの疑いは晴れたでしょうし、ここで失礼させていただきます」
ぱん、と軽く手を叩いて明るく告げたけれど、その子たちはいまだ体を強ばらせたままこちらを睨みすえている。
……へんだなあ。若サマや琴、睿霸なら、呆れたように笑ってくれるのに。この人たちが笑うトリガーは、3人とはまた別のところにあるのだろうか。



