うそつきな唇に、キス





「─────っ、く、ぷッ、」

「……あの、後ろで含み笑いしないでもらえますか……、」




彼女らが去った方向、とは反対側。

黒棟の入り口であるドアにもたれていた睿霸は、肩を震わせながらこちらを窺い見ていた。


先に行っててって言ったのに。



「えるちゃん、ほんっマ笑いの才能あると思うで……っっ」

「そんな才能いりませんよ……」

「なんや、えるちゃんは誤解される星の下に生まれとるみたいやナあ」

「そんな星は破壊し尽くしたいですね」




でも、今のところ高確率で誤解されっぱなしなんだよなあ……。

……若サマや琴、睿霸にも非常に不本意な誤解をされていそうだし。


……なんて考えても、この場ではどうにもできないから、とりあえず。

そう思って、眼前にへたり込むひとりの少女を見下ろした。



「あの、」

「っ、は、い、」

「実は、あなたに伝言が─────、」



そう、頼まれた言伝を彼女に教えようと、口を開きかけた時。



「─────えみり!!」



いつぞやの、なんとも間の悪い声が聞こえた。