うそつきな唇に、キス





……もしかして、あの姫、否、えみりと呼ばれていた女の子も生徒会関係者だったりするのだろうか。

睿霸の言葉をそのままの意味で捉えるのならば、あの女の子はかなりの有権者らしいし、あり得ない話ではない、と思うけれど。



……なんて。そんな予測にも満たない推察を延々と脳内で巡らせていても、時間の限度はやってくる。

そろそろ若サマのところへ戻らないと、変な誤解をされてしまうかもしれないし。いい加減わたしが持ってきた資料にも目を通してもらわなくては。



「……あの、すみません」



ソファに沈ませていた腰を上げ、先程言い争いをしていた女の子の予算割り振りの資料を覗き込む。



「あっ、は、はい?!」

「少し、口を出してもよろしいでしょうか」

「えっ、あっ、ご、ごめんなさい、うるさかった、」

「いえ、そうではなくて。……こちらの予算ですが、これに割り振っている分をこちらに回し、各設営分の労働を個々の生徒に多少負担してもらうことで軽減できるかと思います。こちらの方は────、」



女の子と言い争いをしていた男の子の方にも別案を提示すれば、その両方からポカンと両目と口を大きく開けた顔で見上げられた。