うそつきな唇に、キス





フチなし眼鏡をかけた、若サマや琴、睿霸とは違うさらさらの茶髪を持った男性だった。

琴はどちらかというと髪質はツンツンしてるし、睿霸はくるくるふわふわしてて、若サマは睿霸寄りだけど、あれはふわふわ、というよりボサボサしてる感じがあるから、なんだか新鮮。若サマももとは直毛だったんだけど、寝癖の影響で全体的にボリュームが出てぼさあっとしてるんだよなあ。……お風呂上がりのぺしゃっとした髪を見ると、どうしても一瞬、むか、




「……?あの、」

「あ、」



いつまでも反応を返さないわたしを、怪訝そうに見る生徒会長さまへ、慌てて笑みを編み上げた。



「申し訳ありません、わたしは若頭サマの側近を務めさせていただいている、えると言う者です。こちらが該当の書類になります」

「ご丁寧にありがとうございます。……すみません、ただいま業務が滞っていまして、確認の時間を少々いただきたいのですが、よろしいでしょうか」

「もちろん。わたしのことはどうぞお気になさらないでください」



わたしのことなど、本来白服の人たちは誰も気にするべきではないのだから。