決してこちらとは目を合わせようとしない意思に、呆れを通り越して感心してしまった。
関わったら必ず揉め事になると知っている。それでも、学校という環境下では関わらざるおえない時もあって。
それなのにこの必死さは、見ていてなんだか哀れにも思えてきてしまう、……なんて。
……まあ、そもそも水と油、墨と雪の関係性として生きる彼らを、なぜ学校という閉鎖的空間の中に閉じ込める形で生活させているのか、些か疑問ではあるけれど。
……若サマ、これくらいなら、聞けば教えてくれるだろうか。
いつも質問する時は、聞いていいか少し迷っている、と言ったら、琴には笑われてしまいそうだけれど。
……それも、よく受け取っていた、嘲笑の意味合いではない、笑みを。
そんなことを、考えていたから、なのか。
それとも、ただの偶然だったのか。
「………あ、」
何の気なしに窓の外へと目を移した先には、ちょうど黒棟の廊下で駄弁っているあの3人が見えた。



