「ほんっと、おかしい子やなあ、えるチャンは」
─────ボクらとこーんな、仲良くなって。
随分と含みがある言い方に、すかさず漆黒の男はタトゥーの男に流し目を送った。
「……何が言いたい」
「だあってそうじゃん?ボクらの誰かと気が合ったり、仲良くなったりするのは別におかしいことじゃねえけど、3人全員となると、そうもいかねえよなあ?」
そう言ったタトゥーの男は、至極愉快げに片方の口角を吊り上げた。
「──────お互いがお互いのことを、嫌い合ってる同士なんだから、さあ?」
刹那、その場に走る緊張にも似た、ナニか。
同族嫌悪、あるいは侮蔑。否、その言葉では括れない、憎悪になりきれなかった、ある種の憧憬。
「………否定はしない」
「……そっちの側近クンは?」
「…………まあ、そうですね」
気まずい沈黙、ではなかった。
それは、潤滑油というイレギュラーな存在がいない時にのみ流れる、いつも通りの、昔ながらの空気感ゆえか。
「ほーんと、………おかしいくらい、気が合うんだよねえ、」



