上げていた視線も俯きがちになって、自分の小さな手が目に入った。
「……わたしの方こそ、若サマが起きたら、起きて、いちばんに会ったらそのことを謝罪しようと思っていたのに、忘れていて、すみませんでした」
再度低頭しようと思った時、煩わしそうな、それでいて咎める気など一滴たりともなさそうな声が、響く。
「……おれはえるに誇っていいと言った。それは決して間違いなどでも、気の迷いでもない。こちら側の言葉で言うのならば、おれに恩を売ったと考えてもいい」
「それは……!」
また、話が違ってくるのでは。
そんな言葉が出かけたけれど。
「……える、まずは顔を上げろ」
わたしが意地でも主張を曲げないと悟ったのか、静かにそう言葉を落とされて。
顔を上げていいものか、悩んだけれど。
「える」
その二文字と、頬に添えられた冷えた手に、逆らうことなどできなかった。
そうして、顔をあげた先で。
──────雪が、ふれた。



