うそつきな唇に、キス






「本当に、ほんっっっとうに、申し訳ありませんでした…………!!!!」



帰って早々、わたしは玄関に土下座していた。

完璧なものだと思う、自分でも。



「………………、おい琴吹。これほどえるを詰めたのか?」

「は?!いや俺じゃねえし!若が寝た後から、急にえるが切腹だの土下座だの謝罪だのボヤき始めただけだよ!帰ったら改めて反省させる気ではいたけど!」



あ、反省させる気ではいたんだ。

なんて、遥か頭上かつ、眼前で繰り広げられる会話に無言を保っていれば、静かにふたつの折り曲げられた膝が目の前に落ちた。



「……える、一体何に謝っている?」

「そーだそーだ。えるが謝ることは正直ねえよ。唯一あるなら事前申告を怠ったことだな」

「……えっと、その、」



……あれ。怒って、ない?

恐る恐るふたりの表情を仰ぎ見ると、若サマは不調のせいでいつもより顔が数段青白くみえたけれど、でも怒っているような雰囲気は感じない。琴は、どちらかというと疑問でいっぱい、という顔をしているし。