「……は、い、」
その言葉の意味を深く考える暇もなく頷けば、そんなわたしに安心したのか、若サマはふっと吐息をもらして、ずるずるとそのまま膝の上へと落ちてきた。
「わっ、若サマ、どうしましたか?!」
「……すこし、ねる、」
「待ってください、せめて下にタオルとか敷いて……、」
わたしの服もびちゃびちゃだから、せめて濡れてないタオルの上で寝てほしかったのに。
数秒後には、穏やかな寝息が聞こえ始めた。
「う、琴、どうしましょう……」
「寝かせてやればいいんじゃねーの。風邪ひいても、それは傘持って行かなかった若の責任だし」
「それは……、そうですけど、」
横を向いて寝てしまった若サマの寝顔についた水滴を払おうとして、不意に手を止めた。
鮮やかな赤とは対極と言える、若サマの青ざめた唇。
情けないことに、それを見て、ようやく自分がしでかしたことを思い出したのだ。
「こ、琴……」
「なんだよ、……って、えるお前、体震えてるぞ。ちゃんとタオルでふ、」
「今から切腹して帳尻合いますか……?」
「は????」



