うそつきな唇に、キス




なきそうな顔、だと思った。

目頭にぎゅっと力が加わって、口角も無理やり引き上げられたかのように不自然で。


なんとも言い難い、くるしそうで、でも半分わらいかけで、わらいきれていない、泣き顔のような顔をしている。


……どうして。

どうして睿霸が、こんな顔、するんだろう。


声を上げたら睿霸が今度こそ泣いてしまいそうな気がして、何も言えなくて。

ちょうどウィッグを外したところだったから、鮮やかな金髪が、人工的なきらめきが、目に毒だった。


……同じように、わたしが良き友達なのではないことに、きっと、睿霸も気づいているのに。



「……っ、」



すう、と短く息を吸って。

黙ったままではいられないから、何かしらの言葉を投げかけようとした、まさにその時、だった。



─────パシャ。



それはまるで、刹那を切り取るシャッターのような。

はたまた、不躾にも空気を読まない異音のような。


雨粒を弾く、足音。


そして。



「っ、え、」



名前を呼ぼうとした声は、違う音へと変換されて。

傘という安全圏の中から、降り頻る雨の中へ、引きずれ出される。



「─────おい、」



容赦なく顔を打つ雨粒は、霞ませることなく、その人の顔をわたしの前に映し出した。



「……な、んで、」



こんなところに、いるんですか。



─────若サマ。