その後、しれっと男子トイレへ侵入して、睿霸に貸し出してもらった睡眠薬セットを取り出した。
粉末状のもの、液体状のものがあったけれど、後者を小さく丸いスプレーに詰め入れる、……その時に、ぺろりと試飲してみたら。
「っ、わ、」
一瞬、くらりと目眩がした。
……あ、ぶない。これ。
わたしにも多少のふらつきがあるくらいだから、耐性がまるでない一般人は3秒持ったらいい方ではないだろうか。
頭を軽く振って鈍痛を吹き飛ばし、ミストの噴射口であるツマミを回して洗面台の端に置いた。多少部屋の雰囲気に加湿器のような物の異質さは垣間見えるけれど、それに気づいた時にはもう眠りについているだろうし、問題ない。
……よし。これで下準備は完了。
あとはここに例の人を入らせることができればわたしの仕事は終わり。
……睿霸に言ったらベタだとけらけら笑われそうだけれど、アレでいいかな。あの人、ハニトラは通用しなさそうだし。



