うそつきな唇に、キス







─────みつけた。


そう声には出さず、心の中でその四文字をなぞった。



カジノの中央フロアをあらかた見回したけれど、残念ながら該当する人物は見当たらず。

ならばとバーを覗いたら、拍子抜けするほど堂々とそこにいたのだ。



中央フロアとはまた違った趣のバー。落ち着いたジャズが流れ、おそらくカジノでの昂りを一度冷却するためのスペース。


そこのカウンター席、奥から3番目。

容姿は整形でもしたのか多少違うところはあるけれども、体格、声、所作は変わっていないまま、件の人物はいた。


そして、その人物は、どうやら右隣にいるフードを目深に被った人間と何か話をしているらしい。

……あの人、いや、あの子、かな。


例の情報屋、っていうのは。


彼らから5つほど離れたカウンター席に座り、適当に飲み物を頼む。チケットがドリンクサービスも兼ねているらしく、お金を支払わずに済んで助かった。

一応バッグの中にお財布は入っているものの、睿霸から支給されたものはあまり使いたくないし。



「………ふう、」



出てきたドリンクをゆっくり飲み干したあと、静かに席を立った。



では、始めるとしましょうか。