「……はあ、」
ため息をついておきながら、でもこれがこちら側の世界のサガとでも言うべきものなんだろうなあ、と苦笑いがもれてしまう。
人をうたがい、利用してこその世界。
だからこそ、躊躇いなく頼れる時もあるから。
「……ありますよ。人数は覚えていませんが」
あんな天国みたいな世界より、よっぽどマシだと思ってしまう。
「ほーん、そんな大量にやったことアんの?」
「はい」
「んじゃ、直近でいつころしたんか教えてクれへん?あんまり期間置いとイたら鈍っとるかもやし」
その言葉に、ぽりぽり、頬をかいて。
血溜まりが広がったあの場所を思い起こした。
「直近で言うと……若サマたちと海に行った時でしょうか」
「え、でもソん時はころさんやったんちゃうの?」
「はい。それとは別の人たちです。わたしがこっそり血が出ないよう首を折って隠したんですよ。……なので、このこと、ふたりには内緒にしておいてくださいね」
そう言って、がちゃりと扉を開けた。
これ以上突っ込まれた質問が飛んでくるのは、少しわたしにとって都合が悪いものがあるかもしれなかったから。



