「好きなのと生きた心地がしないのはまた別の話です。生きた心地がしないのは……、なんていうか、もう生まれつきのものとしか言いようがないですね」
「えええ……、そウなん?ほな、なんで一緒におって生きた心地がせえへんヤつと生活しとるん?」
「それは……、」
そんなの、考えるまでもなく、決まってる。
わざわざ、そんな人と一緒に過ごしている理由なんて。
「あの人が、わたしの命の恩人だからと……、あと、彼が唯一、わたしの願いをかなえてくれる人だから、ですかね」
ちいさく、息を呑んだ音がした。
それは、まるで瞬きのような音にならない音で、普段のわたしなら聞き逃していたと思うけど。この時だけは、嘘も、偽りも込めなかった故に、殊更反応に敏感になってしまい、耳聡く拾ってしまって。
「……ソ、か。あー、やっパ若くん、羨ましいわ」
からりとした、いつもの睿霸のわらい声が響いた。
……わたしや若サマ、琴以外の人に向ける、わらいかた。
「……あの、睿霸」
「ン?」
言うべきかどうか、実のところ迷った。
言っていいものかどうかも、わからなかったから。
……けれど、別にいいかな、と思ってしまったんだ。
だってわたし、もう宣言していたから。わたしは、大嘘つきだって。
「若サマほど、とは言えませんけれど。……でも、睿霸はわたしの、大事な保険ですよ」



