ふと、気になったことがあって、睿霸に質問しようと顔を上げた時、だった。
ぴろりん、ぴろりん。
なんていう間の抜けた機械音が、車内に木霊した。
わたしがいま持っている、睿霸のスマホからではない。
……けれど、その音は確実に睿霸の懐から鳴っていて。
「……あの、聞いていないフリをしているので、出てくれてかまいませんよ?」
なぜか一向に出る気配のない睿霸にそう声をかけるも、深い笑みを浮かべるばかりで機械音を無視し続けている。
……まあ、持ち主である睿霸が無視しているのなら、わたしがとやかく言えることはない、かな。
「……えっと、では、質問してもいいですか?」
「ン?どないシたん?」
「この導線なんですけど、これ、スタッフルームを通ってますよね?」
「ウん、そーやけど」
「では、カジノ側との連携は取れている、と思っても大丈夫ですか?」
そう聞くと、なぜか睿霸は言い淀むように視線を斜め左下に落とし、ついで苦笑いまでこぼした。



