「なんやネん……。ま、裏切る時は僕に一言いってくれたら、加担はセえへんけど、匿うくらいはしたるで」
「……それ、睿霸の側近になるっていう条件のもと、ですよね」
「えるちゃんも僕のことワかってきとるなあ」
けらけらとようやくいつもの笑みを取り戻した睿霸は、ふとその顔に笑みではなく、微笑みを、たたえた。
「……それに、僕個人の追加の守る理由付けとしては、えるちゃんの綺麗事は、たぶん嫌いやないと思っタからなんよね」
「え?綺麗事、ですか?」
でも、さっきは嫌いだと大声で宣言していた気がするけど……。この数分で、心境の変化でもあったのだろうか。
「僕さあ、綺麗事っちゅーんは、吐イた言葉の責任を取らんくてもええ言い訳みたいに思うとって。そういう、人に変な期待持たせといて、自分主体の行動が入っとらん言葉が僕嫌なんやけど、……でも、えるちゃんやったら、きっとそれがどんだけ綺麗事に聞こえても、有言実行してしまうンやろな、って思ったんよ」
「……わたし、睿霸にそんなことを思ってもらえるようなこと、何かしましたか?」
「こういウんはな、劇的な何かやのうて、日々の積み重ねが大事なんやで」
そう笑って言った睿霸の言葉を、わたしは初めて、よくわからない、ではなく、とてもよく理解できることだと思った。



