「………、睿霸、」
「ン?どなイしたん?」
「あのふたりって、周囲の人よりも距離が近い気がするんですが」
くるりと首だけ振り返った睿霸が、わたしが指し示した銀髪の男の子と女の子を流し見て、なぜか瞳に苦笑の影を落とした、気がした。
「あー、あれはたぶん、所謂恋人っちューやつやろな」
「……恋人って、そんなに大事なんでしょうか」
それは、彼らの後ろ姿を見てふと湧き出てきた疑問。
特に他意はなかった。ただ、ひたすらに不思議だっただけ。
「んー、コれも僕の持論でええなら、恋人は友達と同等、もしくはそれ以上の存在になっとるからやない?一般論で言ウ家族と同格か、自分の命以上の存在とか。まあ、僕には自分の命以上に大切にしとる人間なんておらんから理解できヒんけど」
そうぶつくさ文句を垂れている睿霸を横目に、ふと思った。
自分の命と同格ではなく、それ以上の存在を家族や、恋人と称するのならば。
……わたしには、きっと────。
なんて。無用な思考が生み出されようとした時。
「んああああああアあああ!!!やっっっパ僕、あいつら大っ嫌いやわ!!」
睿霸のイラつきを全面に押し出した大きな声に、その思考はぶった斬られた。



