うそつきな唇に、キス





「あの、お怪我はありませんか?」

「……あ、は、はい」



地面に転がっている男の人たちを避けながら、腰を抜かしている女の子の顔を覗き込んだ。


見たところ、わたしと同年代くらい、かな……?

あの学校に通っているのなら、護衛のひとりやふたりいてもおかしくないと思うんだけど、……まあそのあたりは個人のご事情があったりするんだろう。


若サマだって、琴しか側近いないし。


そう思いながら、立たせようと手を差し伸べようとした、ところで。



「────えみり!」

「えみりさん!」



誰かの名前とともに背後から振り下ろされた拳を、飛び退ってかわした。


ぱたぱた、まだ何人かの足音が聞こえる、……けれど。



「……おい。こいつを攫おうとしたのは、お前か」

「えみりさん、早くこちらへ!」

「え、……あ、」



一難さってまた一難。

わたしと同年代くらいの、それも殺気だった男の子が、ふたりどこからか出没していた。


……なんか、これ、睿霸が言うところの、嫌な流れ、のような気がする。