うそつきな唇に、キス





「に、逃げてください!私が大人しく捕まりますから、お願いです、その人には手を出さないで……!」

「くっ、そ、お前は黙って入れ!!どうせ現場を見たんだ、生かしておくわけねーだろうが!」



奥の方では、女の子と男性が何か言い争いをしていた、けど。

頭の中はひどく冷静で、合理的で。


はやく助けなきゃ、なんて善人じみた考えは、これっぽっちも浮かんでこなくて。


……かわりに。

ぴろん、と。あの日のような、ひとつの電子音が、わたしの思考を切り裂いた。



「……いま送ってくるタイミングじゃないと思うんですけどね」



現在において、わたしにメールを送れるのはただひとりだけ。

だからなのか、口元に苦笑をにじませながら、スマホを取り出すと。


画面の上部に、ひとつのメッセージの通知とその文面が表示されていて。



「………、」

「……仕方ないですね、」



呆れたような名残が残った視線と、殺意がこもった目が絡み合った、瞬間。

3人が、動く。


訓練を受けた人の動きだった。

手捌きも、足運びも、連携も、ぜんぶ。


けれど。



一瞬ののち。


────彼らは、わたしの友人の希望した通りに、背負い投げで昏倒させられていた。