「……一応聞いておきますが、立ち去る気はありませんか?」
「ここですごすご立ち去れると思うか?」
「それもそうですね」
顔は、薄闇にまぎれてあまり見えないと信じたい。
わたしが今回の騒動に関わったと知れたら、若サマに迷惑がかかるかもしれないし。
……けど、大柄な男の人たちも、別に自分の力を過信しているわけではなさそうなんだよなあ。
だって、わたしのこと、舐めた素振りが一切見られないし、何より隙を見せないようにしているから。
男の人ひとりがかりで抵抗している孫娘さんを必死で車の中に押し込もうとしているし。
銃……、も、見た感じは所持していない、ように見える。なら、話ははやい。
「お前、一体どこの者だ」
「……その女の子の関係者外の人間、とでも言えばいいでしょうか」
そう返したら、銃のかわりとでも言うように、懐から折り畳み式の小型ナイフを取り出した。
……怪我、したら、琴怒る、よね。
手っ取り早く済ませる案が浮かんだけれど、それをしたら琴にすごく怒られそうなので頭の中で即却下して、なるべく穏便に済ませる案にシフトした。



