うそつきな唇に、キス





抗議の意味を込めてわたしを投げ飛ばした人の名前を叫ぶと、暗がりでなぜかガッツポーズを決められた気がした。



「っ、とととと、」



くるりと空中で体勢を整えて、きちんと足から着地できた、のはいいんだけど……。



「……え?」

「………は????」

「……あー、」



問題は、わたしが只今修羅場となっている渦中に文字通り投げ飛ばされたことである。



「……えーと、」



この後に起こること、そのすべては睿霸に責任取ってもらおう。

だって投げ飛ばしたの睿霸だし。わたしの主人は若サマだけど、この場合は睿霸に全面的に責任があるから問題ないはず。


そう強引に納得させて、えほん、と場に馴染むための咳払いをひとつ。……しなれていなかったから、変な咳払いになっちゃったけど。



「その、わたしも彼女に少々用事があるので、あなた方には立ち去っていただきたいのですが」



ミルクティー色の髪の毛をポニーテールにした女の子を指差すと、車に無理矢理連れ込もうとしていた男の人たちは、そっと目配せし合うと、4人のうち3人がわたしへと向き直った。