うそつきな唇に、キス





「……お好きにどうぞ。それより、ほんとに早く仕事くださいね。スマホも返してもらいたいですし」



痛いところをつかれた、わけではなかった。

ただ、なんとなく、この話はこれ以上続けるべきではないと思って、無理矢理話を変えていく。



「だあって、えるちゃんが毎夜側近くんト通話しとるからやもん。スマホは代わりに僕のやつに直通で繋ガるのあるんやからええやろ?」

「何も良くないです」



あれはわたし個人のお金で買ったものではなく、若サマから支給されたものなのだ。わたしが購入したものなら諦めもつくけれど、若サマからいただいたものなら話は別。ちゃんと返してもらわないと困る。


そう説明すると、睿霸はどこか納得していないような、それでいて不服そうな意味を含んだ視線をジーッと向けてきて。



「……そう言う割にはえるちゃん、こっちに来テから側近くんがかけてきとった連日連夜の電話に毎度正座しとらんかった?」

「それは、その、電話内容が毎回お説教だったもので……」



自然と、それはもう流れるように正座していた。