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「……っはあ〜、それにしても、えるちゃん荷物持っとらんけど、持ってくもんはなイと?」
「あ、はい。というか、睿霸がわたしの服とか日用品は全部用意してくれるって言ったじゃないですか」
「いや普通それ以外にも持ってくもんあると思ウやん」
「……?え、ありませんが」
琴と別れ、家の前につけられている黒い車に向かいながら返した淡白な答えに、睿霸はまたけらけらと笑った。
……ほんと、どこが面白くて笑ってるのか、よくわからない人だなあ。
「にしても、えるちゃんほんま嘘つキやなあ。いつ戻れるかもワからへんのに、すぐ戻る言うとか」
睿霸がふと落とした、そのひどく底意地が悪い言葉に、ひとつため息をついた。
……何を今更、と思ったから。
「……わたしの名前は、嘘つきという意味であるLiarが由来なんです。そんなわたしが嘘をつかないというのも、おかしな話でしょう」
「ソら初耳やった」
るんるんと効果音がつきそうなほど軽快に車に乗り込む中、ふと睿霸が思い出したように言った。
「そヤ。えるちゃん撃った奴、逃げる算段ツけとったんかほとんど逃してしもうたんやけど、ひとりだけ捕まえられたんよね。どースる?処理してええならこっちガやっとくけど」
「あー……、少し話をしたいので、そのあとお願いします」
「りョーかい」
そうして、睿霸の車の中に乗り込む前に。
一度だけお屋敷へと視線を向けたのち、小さく息をついて、にこにこ微笑む睿霸がいる車内へと体を滑り込ませた。



