「……ぅ、ん?」



眩しくて、目を細めた。


白む視界を少しでも慣らそうと、ぱちぱち瞬きをして、最後にぎゅうっと目に力を入れて、もう一度瞼を開く。


そうして一番に目に入った光景に、一瞬思考が宇宙に飛びかけた。



「……え、あれ、ここ、どこ……」



ここはどこ。わたしは誰。

なんて、テンプレ的セリフは言わないけど、でも、ほんとにここはどこだろう。


背後には上等なスプリングに、上質なシーツ。前方には、蔦柄の壁紙が張り巡らされた天井に、いつか見た色違いのライト。そして豪奢な天幕。

いま流行りの、あれ、もしかしてわたし転生した?なんていう、馬鹿げた思考にぶっ飛びかけた時。



「……あ、若、える起きたぞー」

「転生じゃなかった……」

「は?テンセイ?」



がちゃりと無遠慮にも琴にドアを開けられたことにより、斜め上の妄想は砕け散った。