うそつきな唇に、キス






────見慣れているはずの両開きの扉から、今はなぜかひどく目を逸らしたくなった。


けれど、目を背けるわけにも、そして開けないわけにもいかなくて。

背後にいる人たちに押されるようにして、夜が明け始めた玄関に足を踏み入れた。


……わたしが、住んでいる場所に。

なんて決心をした束の間、ドアを開けた瞬間に、あくる日の般若が出迎えた。



「……っ、える!!お前一体どこに行ってたんだ!!!」

「……あ、」




そんな琴の顔を目に映した瞬間、喉がきゅっと締まってオロオロして、思わず目を逸らしてしまった。

冷や水を浴びせられたような感覚、という言葉がきっと、いちばん近い、と思う。



「こんの面倒くせえ時に俺の、仕事を、ふ、や、す、な!!!このバカ!!!心配させんじゃねえよ!場所も告げずにどこ行ってた?!」

「う、えっと、その、ですね、」



あたふた、事情を説明しようとした、その時。



「側近クん、えるちゃんもお疲れなんやから、も少し落ち着きーや」

「はっ……?みゃ、喵、さま……?」