うそつきな唇に、キス





ありがとうございます、と返したあと、どうにも居心地が悪くて、その場で正座をしてしまった。

だって、いろんなものを破壊してしまっているから。



「えっと、その……これはですね、不可抗力と言いますか。銃への対抗手段をわたしは所持していなかったので、門や玄関で睿霸への取次ぎをしてもらってたら殺されるなって思ってその……強行突破を……」

「えエって。そンくらい僕もわかっとるから」

「あの弁償代は若サマに請求してください」

「そこは若くんなんやネ」



出来ることなら自分で支払いたいけど、如何せんわたしは未だ無一文の身。払いたくても払えないのだ。

チラッと若サマから、わたしの銀行口座は作ってある的な話を聞いたけれど、それから全然話題に出なかったし……。



「……ホんで、えるちゃん。こーんなド深夜に僕に会いに来たっちューことは、なんや話したいことがあるんとちゃうか?」

「……はい、」



睿霸が浮かべているニッコニコ笑顔に、妙にムッとするけれど。

わかっている。それが、何を意味するのか。





「────睿霸に、頼み事があって来ました」

「……ナら、応接室で話そか、」



────睿霸に頼むということが、意味するところなんて。