うそつきな唇に、キス




「……っ、」



慌ててギアを上げて、バイクのスピードを加速させる。

と同時にミラーを再度確認すると、夜を隠れ蓑にするようにして、銃の音と排気音を最小限に抑えている3台の黒のバイクが接近していた。


……気づかなかった。気を緩めすぎてた、のもあるだろうけど、たぶん、ころされないだろうっていう確信じみた驕りのせい。

というか、いろいろ今更だけれど、あのバイクの種類から見て排気音をあそこまで絞れるの、禁止されたインナーサイレンサーくらいだと思うんだけどなあ。銃にもサイレンサーつけてるし。



「……っああ、もう。この忙しい時に」



あと、わたしをころして得なんてないと思……や、あるにはあるけど。



「もうちょっと期待してくれてもいいんじゃないかなあ」



なんて言葉を口に出した割に、その声音に嘲笑という色が混ざっていたのは火を見るよりも明らかだった。



「……これ、法定速度守れるかな」



と、一瞬考えかけ。

今までの、割とグレー……否、真っ黒な行為の数々が頭に浮かんだのち。



「……もうぜんぶ、今更なんですよ、ね、」



やっぱり15分で到着させようと、ギアを上げた。