うそつきな唇に、キス




赤髪の男の方に近寄っていくエセ関西弁の男は、スマホの画面を覗き込んだ瞬間、驚いたように目を見開いた。

……まあ、それもすぐニヤニヤとした笑みに上書きされたのだが。



「テキトーっちゅーてたけど、側近くん、よう撮れテんな。……しかモえるちゃんと若くんのツーショットとか、アングルばっちしやん」

「これはほんとに奇跡の一枚なので」

「えるちゃんノ表情も僕が見る時とは違うて可愛ええけど、若くん、若干表情筋緩んでへん?」

「……気のせいだ」

「ええ、ほんマ?」



ふと、そのふたりとは違い、自分のスマホの写真フォルダにある、たったひとつの画像を見下ろした。


自分の端末の中にあるのはひどく不釣り合いで、けれどなぜか削除する前に転送してしまった、その画像を。



先程までここにいた彼女の戸惑ったような、どうしたらいいのかわからないような表情とは違い、ひまわり畑にいる彼女は、おそらく自覚しているよりも綺麗な笑顔をしていた。

そして、その隣にいる自分は────、



「…………、」