うそつきな唇に、キス






















────えるが、ドアにぶち当たりながら廊下へ消えて行ったのち。

教室内にて。


彼女の関係者である2名は、しばらくほわわんとした空気を漂わせていた。




「……いやあ、まさかえるちゃんにあんな可愛ええ一面があるとは知ラんやったなあ」

「俺も、あそこまで取り乱してるえるは初めて見ました。普段から無垢は無垢なんですけど、いつもどこか冷たさのある無垢さだったので」

「ああ、純粋っちゅーよリは、無垢って感じはするなあ。……その無垢も、違和感ありキの無垢さやけど」

「……言われてみれば、そうですね。ってか、若、俺まだえるの写真消したこと許してねーからな」



そののほほんとした空気も、ひとりの咎める声により、少しぴりついたものに変化しかけていた、が。


ぴろん、という電子音が、その変調をかき消した。



「……ん?……えっ、若、これ、なんでだよ?!」

「……お前のフォルダから削除する前に、一度おれの方に転送しただけだが」

「ホな側近くんが撮ったえるちゃんの写真はまだ健在っちゅーこと?!なラ見せてや!」