「……別に可愛いと思ったことはないが」
「ですよね?!」
「そんなことより、」
可愛くない、と言われて喜ぶわたしは、ハタから見ればかなり変な人だということは、この時は全然わからなくて。
ただ、褒められるムーブを一旦止めたかっただけなのに。
「……お前、なぜ絡まれたことを報告しない?」
「…………、へっ?あ、す、すみません、報告するほどのことでもないと思って……」
いきなり話がかなり前に逆戻りして、一瞬ぽかんとしてしまった。
「その、どちらも琴がすぐに仲裁に入ってくれたので、わたしや声をかけてきた人に怪我もなかったですし」
「一度目はぎりぎりだったけどな。……えるが手を振り下ろすまで」
「物理?!まサかえるちゃん物理でナンパ野郎追い払おうとしたん?!は、腹捩れるからほんまやメてやっ……!!」
椅子にまたがり、背もたれに掴まってひいこらと笑い転げている睿霸は、そろそろ笑うのやめないとわたしの不完全燃焼の拳がうなると思う。



