うそつきな唇に、キス




ぽん、と。なぜか頭に手を置かれていた。



「……なんですか?琴」

「いや。カワイーなと思って」

「………、」

「なんでいきなり真顔に戻るんだよ」

「揶揄ってるなあって思ったら、自然と表情が死にました」

「別に揶揄ってねえよ。本心だし」



わしゃわしゃ、と頭を撫でる手に、偽りはないように思う。あと、揶揄も。


……なんだろう。すごく、生温かい視線を感じる。

それも、すこし3人の顔を見れなくなりそうな、もの、を。



「う、………、わ、若サマはわたしを可愛いだとか思ったことはないですよ、ね?!」




変な、むずむずした空気感に耐えられなくて、思わず若サマに救援を求めてしまった。

この中では、いちばんパスを出していけなかった相手に。



「………、」



そして、若サマはというと、沈黙。

さっきからひたすらに黙りこくっていることが、余計に嵐の前の静けさなのでは、という疑いを増している。