うそつきな唇に、キス




自分を撮るのは、得意じゃないし、好きじゃない。

だから、自分を、〝える〟を撮ることは、これからもない、……のに。



「……あ、えるなら俺が撮ってるわ」

「へ?」



琴がごそごそ、スマホを取り出したのを、呆然と見ていた。



「オ、側近くんが撮っとったんか」

「はい。えるは写りがいいからどんなにテキトーに撮ってもビジュが良くて……、これです」



ぱっ、と。画面に写し出された、琴のスマホを。



「……うわっ?!は、える?!」

「ちょ、えルちゃん?!」



反射的に、奪い取ってしまっていた。それも、目を見張るほどの速さで。



「……わ、若サマ!これ削除どうするんですか?!」

「削除方法もわからず取ったのかよ!!!ちょ、返せ!えるの写真その一枚しか撮れなかったんだから!」

「撮らなくていいです!っていうかなんで撮ったんですか?!わたしなんかを!!」

「はあ?!それは………、…………、なんでだろうな」

「理由がないなら消しても問題ないじゃないですか!」