うそつきな唇に、キス





隣であぐらをかいていた若サマに片手を差し出すと、その手をジッと見下ろしていた若サマは、ふと。



「……どちらがいい?」



そう、声を落とした。



「ちょ、若!」

「射撃精度の高い方がいいです」

「わかった」



そう進言したら、ぽいっと右側に入れていたグロック19を放り投げて来た。セーフティがあるとはいえ、危険な扱い方するなあ。



「ありがとうございます」



ちょっと失礼しますね、と前置きをして、いつもより車高が高い車の下を覗き込む。



「若サマと琴、どちらかでいいので、相手が車の影に隠れるよう牽制してもらえますか?」

「……はあ、わかった。俺はいつ飛び出せばいい?」

「琴の方にいる敵から撃ちますので、発砲した瞬間にどうぞ」

「りょーかい」



そう言って、背後へと手を回した琴の手には、若サマが所持していない別の銃が握られていた。

確か、渡貫さんが持っていた銃と同じタイプのもの。



「……もうちょっと右に寄らせてください、はい、私の真向かいあたりにいる敵は左に、」



だんだん、3人の間隔が狭まって来た、その瞬間。


────三発の、銃声が轟いた。