うそつきな唇に、キス




そう。実は、さっきまで帰り支度をしていたのだけど、ちょうどその時襲われてしまった。

今の今まで個人的に銃を向けられたことはあっても、この面子でとなるとなかったから、ちょっと驚いてもいる。


だって、若サマに銃を向けるほど度胸のある組織がないのかと思ってたから。



「肝座りすぎだろ……」

「え?褒めても何もしませんよ?」

「いや褒めてねえし、けど何かしろ!!」

「ええええ、……じゃあ、アルファの強制力を使うのはどうですか?」

「……それは無理があるだろうな」

「却下」



即答したふたりに、なんでですか?と理由を問いただすと、若サマが自分の耳を指差して、その指を車の向こうにいる3人の敵の方へと向けた。



「よく見ろ。全員ワイヤレスイヤホンをつけているだろう?」

「……ほんとですね」

「アルファの強制力は、目を合わせられ、なおかつ自分の声が聞こえる相手にしか通用しない。そのため、こういう場ではアルファの特性を使用するより、行動した方が早い」

「なるほど」



幸い、荷物を車の中に運び込んでいた時に奇襲されたから、咄嗟に車を盾にすることができたけど、このままではジリ貧もいいところ。


……これまた幸いに、敵は3人、それも武器は銃のみ。たぶん、残党か何かだろう。ここでも嫌な視線ばっかり感じていたし。



「……まあ、とりあえず俺が特攻するから、」

「わかりました。では、わたしが敵の動きを止めますので、琴には無力化、制圧をお願いします」

「は?おい、える、」

「若サマ、……どうかその銃を一丁、お貸し願えないでしょうか」