うそつきな唇に、キス





「守るのは、この身があればどうとでもなりますので」

「……そうか」



それは、決して納得したという意味の相槌ではなかったように思う。


なんだか重たくなってしまった空気を変えるように、ざぱりと大きく体を動かした。幸い、ここなら足がぎりぎりつく。



「ということで若サマ、一緒にダイビングしましょう!」

「……お前、実はそれが本音だろう」

「え?まさかまさか。誰かと一緒じゃないと海で迷子になりそうだとか考えてませんよ」

「………、」



何か言いたげに横目で睨んでくる若サマに、シュノーケル取って来ます、と言って琴のもとへ向かう。

琴によると、どうやらシュノーケルはこの別荘の物置に保管しているらしくて。


場所を教えてもらったついでに、ふとキッチンに寄って、あるものを手に取った。



「……ほんと、」



物置部屋は、この別荘の二階にある。

わたしと若サマ、そして琴の個室がある通りのそのまた奥。


……だけれど、わたしは音を立てないよう、そのまま裏口へと向かった。




「────これは、鬱陶しくてたまらないよね」