うそつきな唇に、キス





────ぷかぷか、浮かんでいた。

流れに身を任せるまま、たぶん、なんとなく。



照りつける日差しに、澄んだ海水。

それらを綺麗だと思ったことなんて、なかったはずだったのに。



「若サマ、何してるんですか?」

「……浮かんでいるだけだが」

「なんかほんとに楽しみ方わかってない人の図って感じですね」

「お前も言うようになったな」



ざぶざぶ、若サマのもとまでやってきた。

だってほんとにこの人浮かんでるだけで何もしてないし、何よりこのままじゃ波に流されちゃいそうだったから。



「……それより、ホルスターはどうした?おれを守ると豪語していたのはやはり虚言か」

「まさか」



そう言って、なんとはなしに若サマの隣に浮かんでみた。

ぷかぷか、ぷかぷか。


青空の中に、煌々と輝く太陽がひとり寂しく浮かんでいて、まるでその光は強がっているようだった。