うそつきな唇に、キス






「若サマもやりますか?」

「お前のような経験者の後に、未経験者がしてどうなる」

「え、若サマ未経験なんですか?サーフボードあるのに」

「……逆になぜお前に経験があるのか不思議でならないが」



何度か波に乗ったあと、若サマも誘おうとしたら一も二もなく断られた。未経験だからやりたくないらしい。

何事も挑戦しなければ始まらない、っていつか読んだ本に書いてあったのに。



「危険が及ぶようなことは全面的に禁止されてましたけど、力になることはよくやらされてましたから」

「サーフィンも充分危険だと思うが……」

「う、う〜ん………、あ、でもわたし海の定番である素潜りとかやったことないですよ!」

「定番……」



何かを訴えるような視線を若サマから送られ、はてと首を傾げていたら、若サマがぽそりと呟いた。



「……はあ。ならば、まだダイビングの方が定番だろう」

「ダイビング、いいですね!」

「ただ必要な物は揃っていないがな。ボンベや資格など、」

「?ゴーグルひとつあれば充分じゃないですか?」



そう言ったら、また若サマに何か言いたげな目で見上げられた。