うそつきな唇に、キス





「え、えーっと。その人一体誰かな?」



その声にふと見上げたら、男子三人衆はまだいた。てっきりもういなくなってくれてるかと思ったのに。



「この人は……、そうですね。わたしの兄です」

「兄?!?!」



適当な嘘をついたら、なぜか琴にすごく驚かれた。

そんなにびっくりしなくてもいいのに。



「お前どっからその嘘出てきたんだよ……」

「え、でも琴ってわたしの兄貴分みたいなものだから、実質兄じゃないですか」

「えるは屁理屈モンスターなのか?」



はあ、と特大級のため息をついた琴は、若待たせてるから行くぞ、とわたしの手首を掴んで引っ張っていく。


そして、何も知らない若者の横を通り抜けようとした時、琴の突然の登場にぽかんとしていたうちのひとりが、ハッとした様子で琴の肩を掴んだ。



「お、お兄さんちょっと待っ────、」

「あ゛?」

「ヒッ」



瞬間、わたしでも見たことのない目力で相手を睨みつけ、加えてダメ押しの如き威圧の言葉。これにはただの一般人は到底耐えられないだろう。