うそつきな唇に、キス






「……結局、ふたつも買ってもらっちゃったなあ」


シルバーとゴールドのリングが、それぞれ別々の手、別々の指にはめられていた。

若サマチョイスは右手の薬指に、琴チョイスは左手の親指に、という具合で。



「………変なひとたち」



飴と鞭が大切なのはわかるけど、それでもふたつはいらないだろうに。

そう思いながら、手を洗うために一旦それを指からはずした。


あれから、ふたりは特に何か買う様子もなく、わたしが手洗いから戻ればそのまま別荘に直帰するらしい。


ぱっぱ、と水滴を払って、置かれていたペーパータオルで手を拭いたのち、またリングを付け直す。



「まあ、琴が選んでくれた方が透かし彫りでちょっとゴテゴテしてるから、殺傷力は高そうだけど」



たぶん、これはブルメリアの花、かな。


またひとりだからと、ぽつぽつ独り言が出ていることに気づかないまま、脳内に出てきた、だから殺傷力を求めるな!という琴の声に自然と口角があがった。


さて。はやく若サマたちのもとに戻ろう。

そう思って、トイレから出た時だった。



「────ねえねえ、そこのきみ」