わたしが何かを言う前に、琴が店員さんを呼んでしまい、なぜか試着することになった。
「………えーと、これ殺傷力あります?」
「だからリングに殺傷力を求めるなバカ」
店員さんは、これはウェーブリングという形のものだとか、細身なのでよくお似合いですとか、なんかいろいろ言っていた。けど、この場の3人の耳にはひとつとして真面に届くことはない。
若サマがチョイスしたのは、少し変な形をしたシルバーリング。中央にはふたつ、大きさが違う黒い宝石が嵌め込まれている。
「……あの、このリングの中央にはめられてるのって、わたしの勘違いじゃなかったら、ブラックダイヤモンドじゃないかなあって思うんですけど……」
「お客さま!実はその通りなんです!」
恐々と若サマに聞けば、店員さんがキラッキラの笑顔で頷いて。
……ひゅっと、息が詰まりそうだった。
だってこれ、絶対高い。



