「……はあ、」
「す、すみません」
「別に責めてはいない。……変なところで非常識なオジョーサマだと思っただけだ」
「お嬢様なんて言われるような身分ではないですよ、わたし……」
「では箱入りのオジョーサンか」
「ゔっ……」
箱入り、と呼ばれるとなんとも言えない。
事実、そうといえばそうだったから。多少、言葉の綾とも言えるけれど。
「……そういえば、お前にまともにスマホを弄らせたことはまだなかったか」
「その……使う機会が、なくてですね」
そもそも、使う機会、というものがよくわからなかった。
もちろん例え離れていてもお互い好きな場所、好きな時間に連絡が取れるというのはすごいメリットだと思う。というよりも、用途は主にそれだと言える。
いろいろ用心深い若サマのことだから、スマホという媒体に個人情報を入れるような杜撰な真似はしていないと思うから。
あと、普通にわたしがスマホの仕様についてほぼまっさらな知識しか持ち得ていないため、それしか思いつかなかった、というのもある。



