うそつきな唇に、キス




若サマたちと出逢った時にあった痕は、もう跡形もなく消えていた。

おかげで、夏に肌を晒せる涼しい格好ができるようになったんだけど。



「治療費とか出してもらって、本当にありがとうございました」

「必要経費だ。気にするな」

「はい。………、」



ありがとうございます、と続くはずだった言葉は、ポケットに入れていたとある物の無言の圧により、一瞬喉につかえてしまった。

そして、それを目敏く見逃さないのが我らが主人の若サマで。



「…………える、先ほどから延々とお前のスマホが揺れているが、一体誰からだ?」

「あー、えーと……、」



ごそごそ、ポケットに入れていたスマホを取り出してみると、画面には〝るいふぁ〟の文字が浮かび上がっていた。



「……実は、夏季休暇に入ってから、一日一回はかかってきてまして……」

「お前は一体いつ喵に連絡先を教えたんだ」

「お、教えたわけじゃないんです。ただ、スマホ取られた時に連絡先登録されちゃっただけで……」