うそつきな唇に、キス




琴がなんの躊躇いもなくずかずか店内に入っていくのを見届けたあと、すとんとベンチに座っていた若サマの隣に腰を下ろした。



「……お前は琴吹とともに行かないのか?」

「え、褒美とはいえ若サマの護衛を放置するほど職務怠慢じゃありませんよ」

「装備は?」

「皆無です。若サマは?」

「いつもの通り二丁装備だ」

「……それ、バレたりしません?」



大きめのジレで隠れているとはいえ、少し心配になる……。



「あちら側も人混みがある中事を起こすほど愚かではないだろう。……おそらく」

「以前されたことがあるんですか?」

「2回ほどな。そのどちらも犯人はその場で自害したが」

「まさに捨て身の攻撃ですね」



そう言いながら若サマを見上げると、なぜか若サマは右のピアスに触れながら、わたしへと視線を落としていた。



「……?どうかしましたか?」

「……いや。青痣は消えたのだなと思ってな」

「あ、はい。それはもう綺麗になくなりました」